60代のトランスジェンダー

60歳を過ぎてからジェンダークリニックの門を叩いたMtFのお話

仕事で老夫婦のお宅へ初めてお邪魔した時のこと

初めてのお客さんのお宅へパソコンサポートの仕事でお邪魔しました。
そこのご主人はかつて、私の教室に来た事があるそうで、男性として生活していた頃の私の事を知っていましたし、何度か電話でお話もしていました。
家の中に上がらせてもらった直後から、
「女性の方がみえるとは思わなかった」
「奥様ですか?」
「ご主人がみえるでしょう?」
と、矢継ぎ早の質問攻撃に遭いました。
そこで、いつものように名刺を差し出し、「すいません、裏に説明が書いてあるので読んでいただけませんか?」と言ってみました。
私の名刺は表は小嶋小百合と印刷されている普通の名刺ですが、裏にはトランスジェンダーについての説明が書いてあります。
ご夫婦は小さい字は読めないと言われて、虫眼鏡を持ち出して二人で熱心に読まれました。
読み終わった頃を見計らって、芸能界のはるな愛さんや、KABA.ちゃんの話をし、今では谷生俊美さんのようにニュース番組で活躍されている方もいらっしゃるという話をしました。
そうして、最初は奇異の目で私を見ていたお二人も穏やかな表情になり、最後には和気藹々の雰囲気の中でパソコンの作業をさせてもらいました。
私はこんな風にして、初めて会った方一人ひとりにきちんと理解してもらえるよう地道にお話をしています。
マスコミで取り上げてもらって話題にしてもらうのも大事ですが、テレビを見ている人の多くは聞き流すだけで、心には残っていません。
実際、今日のお二人も「LGBT? ああ、聞いた事があるような…」程度でした。
自分の周りの人たち一人ひとりにきちんとお話をして理解を広げていく事、気が遠くなりそうですが、これが大事だと思っています。
最近、twitter上でトランス女性に対する攻撃がひどいという話を耳にします(私はtwitterを使ってはいますが、それほどヘビーユーザーではないので詳しいことは分かりませんが)。
また、Facebook自民党LGBT理解増進法案と野党のLGBT差別解消法案を巡って言い争いを目にすることがあります。
そういう事を見聞きすると悲しいですよね。
一人ひとり、面と向かってきちんと説明すれば、たいていの人は理解してくださいます。
地道に自分の周りの人から・・・当事者・理解者、みんなでやりましょう。
遠回りですけど、これが一番です。

ちなみに、パソコンは何のトラブルだったかと言いますと、変なメッセージがいっぱい出てくる、というもので、アダルトサイトから取り込んだと思われる迷惑ソフトが合計10個見つかり、すべて除去して帰ってきました。
みなさん、パソコンでアダルトサイトを見るのは極力控えましょうね(^_^;)