60代のトランスジェンダー

60歳を過ぎてからジェンダークリニックの門を叩いたMtFのお話

トークショー

今日は、各務原市にある陵南福祉センターというところで行われた、NPO法人各務原こども劇場さんのトークショーに出てきました。

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このトークショー3月21日に行われた、劇団うりんこの「わたしとわたし、ぼくとぼく」の事後イベントとして行われました。

最初に、YouTubeに公開された私の動画をみなさんに見てもらってから(私から見てほしいといったわけではなく、主催者がそういう企画にしてしまったのです(^^;))、参加者の皆さんからの質問に私が答えるという形で進みました。

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来場者の方たちに受けたお話を二つ紹介します。

ひとつは、動画の中でも話していますが、私のパソコン教室の忘年会で「これから女性になります」と私が宣言した時に、「気持ち悪い」と言った方がみえたという話です。

実は、この話には後日談があって、ある日、取材に来られていた記者の方とその「気持ちが悪い」と言ったご本人(高齢の男性です)の自宅をいっしょに訪問しました。

ご自宅にあげてもらうと、記者の方がその男性に「女性になると言われた時、どのように感じましたか?」と質問されたのです。

すると、その男性は「別に、なんとも思わなかったですよ。その人がどのように生きようが自由ですから」と答えられたのです。

思わず「え? えええええええ? え~~~~~~~????」

と心の中で叫びました(決して口には出しませんでしたけど)。

確かに「女性になります」と私が宣言したのは、2016年の年末の事だから、取材に訪問した時から考えれば3年ぐらい前の事ですから、忘れてても無理はないですが、それにしても、「気持ち悪い」と言ったことすらまったく覚えていないご様子でした。

幸いなことに、その方は私が「女性になります」宣言をしても、その後もずっと教室に通われていて、必ず週に1回は私と会うわけですから、徐々に女性化していく私を常に見ていて、だんだん私みたいな人間がそばにいるのが当たり前のような感覚に変わっていったんでしょうね。

折りしも、国会では自民党の「LGBT理解増進法案」で自民党と野党が合意したにもかかわらず、自民党内で了承が得られなかったということがニュースになっています。

自民党保守派がこの法案に反対して、「LGBTは種の保存に背く」「道徳的にLGBTは認められない」と言ったと伝えられています。

私には、自民党の保守派と、私の教室の高齢の男性が重なって見えます。

恐らく、自民党の保守派の方々は、身近に当事者がいなくて、私の教室の男性と同じく自分とは異なるもの、気持ち悪いものという意識が働いているのでしょう。

でも、たぶん、日常的に身近に当事者がいて、いっしょに暮らしていけばそんな感情はなくなっていくもの、私はそう確信しています。

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二つ目のお話はこの本。

小野春さんと西川麻実さんというレズビアンカップルがそれぞれの連れ子といっしょに家庭を築くお話です。

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この本の127ページから129ページ、中学校のスクールカウンセラーの先生との会話と、高校に入って間もないころの先生との会話の部分を朗読しました。

中学校のスクールカウンセラーの先生は、親二人が同性カップルだという事に「鳩が豆鉄砲を食った」ように驚き、高校の先生は拍子抜けするぐらいのあっけなさで話を聞いてくれた、というお話です。

「当事者にはどのように接したらいいですか?」という質問への回答としてこの部分を紹介しましたが、もちろん、来場者の皆さんに受けたのは小学校のスクールカウンセラーの先生の方です。

スクールカウンセラーの先生は当然LGBTの知識はあるのですが、それはあくまで生徒たちについてであって、まさか親にLGBTの当事者がいるとは!と驚くわけです。

私が口で説明するより、どのように当事者に対応したらよいかということをよく分かってもらえたのではないかと思っています。