60代のトランスジェンダー

60歳を過ぎてからジェンダークリニックの門を叩いたMtFのお話

ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき

イーブルなごや(名古屋市男女平等参画推進センター名古屋市女性会館)で中京大学の風間先生がコーディネーターを務める「セクシュアル・マイノリティについて考えましょう」という講座があり、行ってきました。

講座というより、「ぼくが性別『ゼロ』に戻るとき」という映画の上映会と言った方がいいかもわかりません。

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映画は主人公の小林空雅(たかまさ)さんが、性別違和を抱え、性別適合手術を受けて戸籍の性別を女から男に変更したものの、やはり私は男でもない、と感じて男でも女でもない性、性別ゼロとして生きていくというドキュメンタリー。

いい映画でした。
しかし、「ゼロ」に戻った空雅という主人公よりも、八代みゆきさん安子さん夫妻(今は夫婦じゃなくて法的には親子ですが、ここでは敢えて夫妻)が登場して、いっぱいお話が聞けた事が嬉しかった。

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二人のお友達という人も登場して、みゆきさんが手術のためにタイに旅立った時、安子さんがお友達に愚痴った裏話などを披露されてお二人の実像がよく分かったような気がしました。
ほかにもいろいろ当事者の方が登場しましたけど、他の人たちはみな霞んでしまって、八代みゆきさんだけが輝いて見えました(笑)
八代みゆきさんの生年月日を知らないんですが、現在、95歳か96歳です。長生きしてほしいです(^^)

◇◇◇
映画を見終わって駐車場のお金を払おうと受付に行くと、何やらすごい剣幕で怒鳴っているおじさんがいました。
また訳の分からない迷惑な男の人が、、と思って見ていてもなかなか怒りが収まらないご様子。
係の人に「どうしたんですか?」と聞くと、「これこれ!」と言って見せてくれたのが、何かの書類の性別欄。そこには男と女しか書いてありません。
おじさんの怒鳴っている事をよく聞いてみると「性は多様であるというような講座をしておいて、男と女しかないのは何事だ!」というような事でした。
さっきまで迷惑なおじさんだなぁと思っていたけど、思わず「おじさんの言っていることは正しい。おじさん応援するよ」と励ましてしまいました(笑)
で、自宅に帰ってくると、こまき市民文化財団から封書が届いていて、先日行った講習会のアンケート結果が入っていました。そこに書かれていたのは「いろんな性別の形を知ろうという講座でしたが、アンケートに男性か女性かに○をつけるようになっていた」というもの。(私はアンケート用紙はもらっていないので性別欄がどうなっているか知りませんでした。)

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いずこも同じだなぁと、笑ってしまいました。
性の多様性という講座を開いておきながら、自分のところの書類の性別欄は男と女しかない! 笑い話にしてもお粗末過ぎ(-。-;
結局、性の多様性、性の多様性と念仏は唱えるけど、全然身についていない、という事ですね(>_<)