60代のトランスジェンダー

60歳を過ぎてからジェンダークリニックの門を叩いたMtFのお話

新井祥さんのお話

昨日、漫画家の新井祥さんのトークを聴く機会がありました。

インターセックスを公表している新井さんのお話は、若いころから現在に至るまでの新井さんご自身のセクシュアリティインターセックス性分化疾患)」にまつわる、漫画の事、映画の事、パートナーの事など、人生のあれやこれやで、すごく面白く、また、とても興味深いお話でした。

「何でも聞いてください」という新井さんの言葉に甘えて、ふつうなら無茶苦茶失礼だと思われるようなことまでズバズバと聞いてしまいました (^◇^;)

例えば「現在の外性器の見た感じはどうなっているんですか?」など。

でも、新井さんは淡々と事実を答えてくださいました。とても誠実な方です。

しかし、一度だけ新井さんが熱くなった場面がありました。それは「アンバランス」という言葉が会場で出た時。

新井さんは「たとえ、その人の見た目の性と心の性が異なっていても、あるいは揺れ動いていても、その人がそうやって生活している以上、その状態がその人にとってバランスが取れている状態であって、決してアンバランスではない」と話されました。

私もそう思います。長い間に培われた「性は男と女しかない」という概念や習慣、風習。それ以外は異常だという考え方にとらわれた行動。そういう感覚に違和感なく浸かってしまって生きている人たちに、「そうじゃなくて、いろいろな性のあり方があり、それぞれ、それがその人にとってはバランスの取れた生き方なんだ」ということを少しずつでも理解してもらえたらと思います。

トークの最後に、1月30日にこのブログに投稿したことですが、「健康診断で私だけ特別に更衣室を用意してもらったことに後ろめたさを感じる」ということについてどう思うか質問してみました。

 この質問に対する新井さんの答えが秀逸でした。

接客業をしている人たち -ある意味、私(新井さんの事)も接客業ですし、病院の看護師さんたちもそういう意味では接客業なんです- は、毎日毎日同じような接客業務が続いて飽き飽きしているはずなんです。

だから、日常と違う事 -今回の場合はMtFの人のために特別に更衣室を用意しなければならないという事- が起きるとみんな張り切るものです。「ようし、やってやろうじゃないか!」みたいな感じで。

だから、誰も迷惑だなんて思っていないと思いますよ。

逆に、そうやって張り切るきっかけを作ってあげたという意味で、いいことをしたと思っていていいんじゃないですか?

 いやいや、接客業という立場からのコメントをもらえるとは思ってもいませんでした。

私もこれでちょっとは後ろめたさが薄れたかな? \(^O^)/